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2005年07月13日

バックナンバー (Vol.9)

2005/04/08 Vol.9 技術士 鈴木裕
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こんにちは、
技術士の鈴木裕です。

4月7日は何の日かご存知ですか?
昭和20年(1945年)4月7日、午後2時23分、戦艦大和が米空母艦載機386機による波状攻撃を受けて撃沈された日です。
沖縄決戦に向けて出撃した翌日でした。

戦艦大和の最大の失敗は建造時期であった、と言ったのは小室直樹博士です。この視点は私にはものすごく新鮮でした。他の多くの評論家の視点は単なる戦術の域を出ないのに対し、博士の視点は戦略的な視点だったからです。

就役時期を半年早め、昭和16年(1941年)夏に武蔵と共に就役させていたなら、太平洋戦争は戦わずして勝てたと言うのです。
つまり、この時期までは、大艦巨砲主義の全盛でした。事実、同じ年の5月24日、英独大海戦は大戦艦の巨砲による戦いでした。勝利を収めた独戦艦ビスマルクの主砲は15インチ、対する英プリンス・オブ・ウエールズの主砲は14インチです。

大和、武蔵がこの時期に18インチ砲の圧倒的な戦力で出現していたならば、米英海軍は日本と戦う気など萎えてしまったに違いない、と言うのです。

現実には、大和の就役は昭和17年(1942年)2月、しかも大和、武蔵の建造は秘密裏に行われ、米英の知るところではなかったのです。

もし、日本が、巨大戦艦の建造を半年早く世界中に知らしめていたなら、開戦への十分な抑止力になり得た、と言うこの説から、私は情報戦略の重要性を感じました。

これはビジネスの世界でも同じだと思います。世の中の多くの人は、戦術としてのITを語りますが、「それをどう使うのか、何のためにそれをやるのか、それによって何を実現するのか、いつまでにやるのか、…」と言う戦略がなければ何の意味もありません。

〜参考文献、日本の敗因―歴史は勝つために学ぶ、小室直樹・著

それでは、今回も、「儲けを生む、ものづくりとマーケティングのメールニュース」、お届けします。

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ものづくりのヒント

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□ アイディアの自殺用語

前回、「オズボーンのチェックリスト」を紹介した。
アイディアを出すためのブレインストーミングの方法だった。

反対に「アイディアの自殺用語」と言うのもある。
誰が作ったのか、よく知らない。
20年ほど前、私が会社員だったころに上司に教えてもらったものである。

1.多分技術的にダメだろう
2.コストダウン額が小さすぎる
3.あまりにも飛躍しすぎている
4.前にも似たようなことをやったがダメだった
5.もう十分出した。出しすぎると後の処理が大変だ
6.自分はその専門家ではない
7.投資がかかりすぎる
8.理論的には行けそうだが実際には無理だろう
9.あいつが似たようなのを出した
10.細部がよくわからない
11.他との関連を考えるとおそらく無理だろう
12.あとで聞かれると説明に困る
13.資料を見るのが億劫だ
14.皆にきっと笑われる
15.紙が小さくて書ききれない
16.絵もうまく描けない
17.誰かが出してくれるだろう
18.漢字がわからない

こんな言葉が20年経ってもまだ日常茶飯的に使われているのは困ったものだ。

私は、自慢するわけではないが、100を超える特許を書いて、国内で50を超える登録をした。米国でも23件登録している。

それだけではない。
ライバルが、唇を噛んで「売って下さい」とまで言ってきた特許が20以上ある。

簡単な事だ。
オズボーンのチェックリストを実践して、アイディアの自殺用語に耳を貸さなかっただけのことなのだ。

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マーケティングのヒント

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□ 市場とは何か?

マーケティングと来たら、フィリップ・コトラー教授でしょう。
米ノースウェスタン大学MBAケロッグスクール教授。「近代マーケティングの父」と言われる人だ。
 
コトラー教授によるマーケティング・マネジメントの定義とは以下のようなものだ。
「マーケティング・マネジメントとは、標的市場を選び出し、優れた顧客価値を作り出し、分配しコミュニケーションすることによって、顧客を獲得し、維持し、増やすための技術と知識である」
 
では、市場とは?
「市場とは従来、購買者と販売者が財を交換するために集まった物理的な場所のことであった。今日、経済学者は、住宅市場や穀物市場のように、市場とは特別な製品や製品群の取引をする買い手と売り手の集まりであるとしている。しかし、マーケターは売り手が産業を構成し、買い手が市場を構成すると考えている。」

はい。よくわかったと思うので、では質問してみて欲しい。
あなたの会社の標的市場はどこか?

「え〜?何のことだかさっぱりわからなかったぞ」
 
実は、そう思うのはあなただけではない。
私にもさっぱりわからない。

しかし、標的市場を選び出す方法は知っている。
その方法とは?

次回に続く…

投稿者 suzuki : 2005年07月13日 16:40

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