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2005年07月13日

バックナンバー (Vol.13)

2005/06/08 Vol.13 技術士 鈴木裕
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目次
1.ものづくりのヒント − タグチメソッド
2.マーケティングのヒント − ローソンの戦略を考える
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こんにちは、
技術士の鈴木裕です。

私の趣味はたくさんあるのですが、カメラには結構うるさいのです。
京セラがカメラ事業から撤退することになり、私の好きなCONTAXブランドのカメラは製造中止になってしまいました。
そこで、最後のCONTAXになってしまった、U4Rと言うデジカメを買いました。

ブランド戦略が大事だと言われますが、ブランドとは一体、何なのでしょうか?
続きはブログの方で。
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/06/post_50.html

それでは、今回も、「儲けを生む、ものづくりとマーケティングのメールニュース」、お届けします。

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1.ものづくりのヒント

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□タグチメソッド
私のブログ http://blog.suzukiyutaka.com/ の、5月度検索語句の1位は「タグチメソッド」でした。
「お勧めの本」に「タグチメソッドわが発想法―なぜ私がアメリカを蘇らせた男なのか」の感想を書いたので、引っかかるのでしょう。
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/04/4.html

この本からは、ブログに書いた何倍もの学びがありました。全てのエンジニア必携、とブログには書きましたが、エンジニア以外の人も一読をお勧めします。
マーケット、カスタマーサポート、法務、...それぞれの立場で気づきがあるはずです。それくらい深い本です。

一言で言えば、「哲学がある。」これがタグチメソッドもどきの単なる統計屋の書いたものと、本物の違いです。

例えば、私の印象に残った言葉は、一例を挙げると、
・技術とは自然界にないものを創造することである。(p.42)
・〜こう考えれば技術とは100%経済の問題だと言うことができよう。そして、経済的なロスを産む最大の原因が「誤差(ばらつき)」なのである。(p.43)
・私は品質とは、「製品が出荷されてから社会に与える損失」だと定義づけている。(p.132)
・クレームのほとんどは設計で対策を立てる必要があることを、知っていなければならない。(P.133)
・「営業はマーケットシェアに責任があり、製造は原価に責任がある。(p.133)

つまり、商品の、品質は設計が、売れ行きは営業が、原価は製造がそれぞれ責任を持つ。
商品が売れない言い訳に、「品質が。。」、「性能が。。」などと言う人がいますが、商品が売れる、と言うことと、品質は本来関係ないのですね。

私が自動車会社でサラリーマンをしていたころ、東京の販売会社が合同で、電車に吊広告を出しました。
「テレビコマーシャルのイメージだけで車を選ばないで欲しい。」
あのころの日産の宣伝はそのくらいひどいものでした。

「技術の日産。」これが当時の日産のキャッチフレーズでした。
実際、次々と「世界初」の技術をつぎ込んだ車を世に送り出していました。
いくら技術力があっても、売り方が悪ければ商品は売れないのです。

そして、どんどんマーケットシェアを落としていったのです。

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2.マーケティングのヒント

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□ローソンが100円野菜ショップを開店させました。マスコミが連日取材しているようですが、果たしてこのビジネス、うまく行くでしょうか?

まず、業界1位のセブンイレブンとの戦力の差を見ます。
セブンイレブンの従業員1人あたり経常利益は約3000万円、対するローソンは1200万円。実に2.4倍もの差があります。
セブンイレブンもやらないような多角経営に乗り出すと言うのは正気の沙汰とも思えません。
やるなら、他のローソン店舗を全部100円野菜ショップに変えて、戦力を集中させる、と言う戦略をとるべきです。

次に、100円野菜ショップと言うコンセプト。
「顧客ターゲットを絞る」と言うのは、2番手にとってはいい戦略です。戦力をそこに集中できるからです。「100円野菜」がいいかどうかは別にして、その市場に絞って事業を展開することは間違いではありません。
しかし、この「100円野菜」、実は、ローソンに限らず、参入者の多い市場です。
市場を絞ると言うことは、本来ライバルのいないところで一人勝ちするための戦略です。
ライバルがひしめいているような市場に絞るのはいい戦略とは言えません。

セブンイレブンは、IT先進性だの情報戦略だのがクローズアップされ、だからセブンイレブンは強い、と言われるのですが、地道で綿密なエリア戦略に基づく出店計画がベースにある、と言うことはあまり知られていません。
「エリア戦略」と言うのも、「地理的なエリアで顧客ターゲットを絞る」、と言う戦略なのです。

投稿者 suzuki : 2005年07月13日 16:49

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