バックナンバー (Vol.10)
2005/04/22 Vol.10 技術士 鈴木裕
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目次
1.ものづくりのヒント
2.マーケティングのヒント
3.一番最後に「技術士 鈴木裕からのお知らせ」があります
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こんにちは、
技術士の鈴木裕です。
前回は、4月7日にちなんで、戦艦大和の話でした。
この、小室直樹博士の「日本の敗因―歴史は勝つために学ぶ」は、戦略を考える以外にも、とても深い本なので、お勧めです。
例えば、ゼロ戦について。
ゼロ戦のエンジンの選択は、現場の意見を重視しすぎた、と言うことが書いてあります。
実際に積まれた八七五馬力の「瑞星」のほか、一〇七〇馬力の「金星」が選択肢としてあった、と言います。
重い金星を捨て、瑞星を選択したのは、現場のパイロットの声を上層部が反映したためだった。
小室直樹氏の言葉をそのまま借りれば、「何かを開発する時に必須の制度、そして開発に対する考え方が、決定的に欠如していることを示すものだ。」
つまり、現場のパイロットの声は、「ドッグファイトで戦いやすい、軽い戦闘機」なのですが、戦闘機はこのあと、大馬力の高速機の時代になります。
ゼロ戦はどの方向で開発するのか?
この、上層部の、ゼロ戦への思い=コンセプトがまったくなかった、と言うことです。
そういえば、カルロス・ゴーン氏は、定期的にテストコースで試乗されるそうですね。トップが試乗する、と言うのは特別な意味があると思います。
それでは、今回も、「儲けを生む、ものづくりとマーケティングのメールニュース」、お届けします。
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1.ものづくりのヒント
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□ 「考える脳 考えるコンピューター 〜ジェフ・ホーキンス」を読んだ。
著者は、パームコンピューティング社の創設者で、コンピューターの専門家、生物物理学者でもある。
この本は、脳の働きを物理的に解明した最初の本だと思う。
人間の脳と、既存のコンピューター、ニューラルネットの違いについて、と、人間の脳と同じ働きをする人工知能の可能性について書かれている。
私自身は、創造性について、とてもよい気付きがあった。
よく、こんな事を言っている学者がいる。
「創造とは、情報を収集して、統計処理して、有意なデータを見つけて実行に移すことだ」
果たして、そんな機械的な単純作業だろうか?
それなら、コンピューターにだってできるではないか。
ジェフ・ホーキンス氏によれば、人間の脳は、過去の経験に基づいて、大脳皮質に実世界のモデルをつくる、と言うのだ。
これが記憶である。
何か問題につきあたると、人間の脳は、このモデルに参照して、将来を「推測」する。
これが創造である。
つまり、「創造」するためには、「経験」と「問題」の両方が必要なのだ。
例えば、中村修二さんの有名な404特許、2フローMOCVD装置と言うのは、中村さんの発明ではない。類似の考えはすでにあった。
中村さんは、それを青色発光ダイオードの素材である、GaNの結晶を作るために応用したと言うことだ。
つまり、長年、GaNの結晶をつくることを経験して、おそらく何度も失敗を繰り返して、どうやれば純度の高い結晶が作れるか、と言う問題にぶちあたって、初めて、2フローMOCVD装置を使う、と言う新しい解決策を「創造」したのだ。
注)この情報は誤りです。「MOCVD装置そのものは中村氏の発明ではない」と書くべきでした。 「2フローMOCVD装置」は、元のMOCVD装置を改良したもので、中村氏の発明です。MOCVD装置とは、半導体薄膜を作るための方法で、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)の略。材料ガスを基板の縦、又は横の一方向から流して、半導体結晶を基板上に生成する装置です。この装置では、基板温度が高い時の対流によってガスが舞い上がり高品質な膜ができない欠点を、縦横二方向からガスを供給することにより対策したものが2フローMOCVD。
今日では、MOCVD装置そのものの改良により、従来型の装置でも高品質な膜が作れる、と主張する研究者も多い。
- 2006年3月22日
もちろん、これほど単純ではなかったと思うが。
だから、何かを創造したければ、なんでもいい、とにかく「始める」ことだ。それから必要な情報を集めればいい。
「案ずるより生むが易し」とはよく言ったものだ。
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2.マーケティングのヒント
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□ 標的市場
前回は、フィリップ・コトラー教授の「コトラーのマーケティング・マネジメント -ミレニアム版-」を紹介した。
この本は、マーケティングの全般にわたっての知識が詰め込まれているので、本格的に勉強したい、という人にはお勧めだ。
ただし、知識と、実際に役に立てることはまた別なので、知識があるだけでは効果は上がらない。
さて、標的市場の見つけ方だが、実はものすごく簡単。
「うちの標的市場はどこだろう?」
という質問が抽象的なので答えが出ないのだ。
次のように問いかけてみよう。
「うちが一番になれる(または、なりたい)市場はどこだろう?」
これまでに、喜んであなたの商品を買って行ってくれたお客さんはどんな人ですか?その人を思い浮かべながら、答えを考えてください。
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3.技術士 鈴木裕からのお知らせ
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このニュースと同じ事は書きませんが、元になった情報は逐次書いていきます。
その中からいち早くヒントを拾って、あなたのビジネスに役立ててください。
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投稿者 suzuki : 2005年07月13日 16:42