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2005年07月26日

バックナンバー(Vol.16)

2005/07/20 Vol.16 技術士 鈴木裕
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儲けを生む、ものづくりとマーケティングのメールニュース
 〜あなたの会社がもっと儲かるためのヒントをお届け〜
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目次
1.お知らせ
2.今週のヒント
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こんにちは、
技術士の鈴木裕です。

「製造原価に占める人件費の割合は10%未満ですから」
いや、すごい人だと思いました。ある意味、カルロス・ゴーン以上です。

この一言は、キャノンの御手洗社長が、デジタル一眼レフを海外生産しない理由を答えた中の一言です。
開発拠点と生産拠点を国内に置くことで、開発と製造間のコミュニケーションが取りやすく、組み付け性などの問題を早期に解決できるから、だそうです。

私にも覚えがあります。
「こんなもの、どうやって組むんだよ!」と工場から怒鳴られて呼びつけられた記憶が。
当時は嫌な思いをしましたが、今にして思えば、よりよい製品づくりにはかかせない活動だったと思います。

パソコンなどのように、寄せ集めのパーツでできてしまうようなものは、組み付け性など、部品間のすり合わせはあまり考える必要はありません。しかし、カメラや自動車、家電製品などは、違います。

人件費が安いから、と言う理由で安易に海外に進出する企業が多い中で、自社の製品はどういう特徴を持っていて、は何を重視するのか、と言う視点で見て、進出しない、と決める。
こう言うのを戦略と言うのです。

では、今週も「儲けを生む、ものづくりとマーケティングのヒント」お送りします。

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1.お知らせ
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□ 今週のお知らせは特にありません

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2.今週のヒント
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□ 成長カーブを考える

一時は経営危機に陥ったアップル社が過去最高の収益を上げたそうです。
http://www.apple.com/jp/news/2005/jly/14q3.html

iPodの出荷台数は6,155,000台と、前年同期に比べ、616%の伸びだそうで、これはiPod効果ですね。

iPodはご存知ですね?携帯型音楽プレイヤーです。技術的には目新しいものはなく、既存の技術の寄せ集めです。しいてあげれば、クリックホイールが斬新なぐらいでしょうか?それにしても、静電容量型のセンサーですから、新しい技術ではありません。

iPodのヒットした理由は、大容量のHDDを搭載したことで、膨大な楽曲を持ち歩くことができたこと、選曲を簡単にしたこと、小型軽量、斬新なデザイン、だと思いますが、もっとも重要だったのは、その参入時期です。

携帯型音楽プレイヤーの成長カーブについて考えて見ましょう。

iPodと同様の携帯型音楽プレイヤーは、1998年2月に韓国サムスンによって初めて市販されました。ついで、ダイヤモンドマルチメディア社のRioが1998年12月に発表され、このころ、市場に出回り始めました。1999年に韓国のベンチャーireverが参入。2000年に、ソニーがネットワークウオークマンNW-E3を発表し、参入メーカーが急に増えました。
このころ成長期に入ったと見ていいでしょう。

一般には、成長期に入ったところで参入すると最も利益が得られるとされています。
iPodの発売は2001年。アップル社はみごとに成長期に入ったところで参入しています。

ところで、さらに凄いと思ったのは次のニュースです。
----ここから引用----
(共同通信) - 7月19日0時4分更新
iPodでビデオも 9月までに新サービスか
 【ニューヨーク18日共同】米パソコン大手アップルコンピュータが、音楽だけでなくビデオなどの動画も見られる新型の「iPod(アイポッド)」の市場投入を計画し、ミュージックビデオなど動画販売のため、複数の主要レコード会社と交渉していたことが18日分かった。
 新型iPodは今年9月までに公表される。新サービスが始まれば、レコード会社にとっても新たな収益源につながる。
----ここまで----

実は、時期型iPodでビデオが見られると言う噂は、2002年ごろからありました。つまり、iPodは市場参入と同時に時期型を準備していたものと思われます。

成長カーブでは、一般に、導入期、成長期、衰退期の期間が同じと言われています。
携帯型音楽プレイヤーの場合は、1998年から2001年までが導入期ですから、成長期は2001年から2006年。この後、衰退期に入り、市場はこれ以上大きくなりません。

次の市場を探す必要があります。
当然の流れとして、音楽の次はビデオ、と言うことになるでしょう。規模は小さいですが、すでに市場には出始めています。私も1台、研究のために買いました。
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/06/2_3.html

これが新たな成長カーブを描きます。

要するに、技術は、そのものよりも、それを応用する製品と時期を選ぶことが、企業の収益には重要だ、と言うことです。

(注:成長カーブがわからない人は、「60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法」、神田昌典・著 がわかりやすくてお勧めです。)
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□ ご意見、ご感想をお待ちしています。
(c)鈴木裕&SRD Inc. All rights reserved.
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□ ご意見、ご感想をお待ちしています。
技術士(機械部門・総合技術監理部門) 鈴木 裕
http://blog.suzukiyutaka.com/
有限会社SRD代表取締役/近畿大学非常勤講師

投稿者 suzuki : 2005年07月26日 05:01

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